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2024.05.19 ブログ

【外壁塗装を科学する】ラジカル塗料とは?チョーキングの発生メカニズムを解説

こんにちはマルミ美装工芸です。

夏に向けて日々暑くなってきているところですが、特に海などに外出する際は紫外線による日焼け予防が大切なのは言うまでもありません。
そんな紫外線ですが、実は人体だけでなく、外壁にもダメージを与えていることをご存じでしょうか?年数が経った外壁を触ると白っぽい粉がつくことがあります。これをチョーキングと言うのですが、これが紫外線によるダメージです。

今回は紫外線がどのように外壁にダメージを与えるか、またそのダメージを抑えるためのラジカル制御型塗料はどのような仕組みなのかを科学の知識で徹底的に解説します。

塗料の選択をする上で役立つ知識なので、是非最後までお読みください。

紫外線によるダメージ

紫外線とは?

紫外線に当たると日焼けするというのはよく知られた知識ですが、なぜ気温30℃程度で日焼けをするのだろうか?と疑問に思ったことはないでしょうか。それは紫外線がエネルギーの高い電磁波だからです。

電磁波というのはその波長によってエネルギーの強弱が決まります。波長が短い方が強く、長いと弱くなります。波長が短い順にガンマ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波、電波と分けられています。ここでの可視光線とは我々人間が目に見える光と認識している電磁波のことです。

太陽からは様々な波長の電磁波が放射されていますが、以下では太陽から放射される紫外線について考えていきます。

分子の構造

高校生の頃に習った化学の知識を少し思い出してほしいのですが、物質を構成している原子はその中心に原子核があり、その周りに電子が存在しています(厳密には測定するまで存在しないのですが、ここでは存在していることとします)。酸素原子(oxygen;O)を例に説明すると、中心に原子核があり、その周りに8個の電子があります。2つの酸素原子Oが近づいたとすると、お互いの電子1個ずつがペアになって、例えるなら酸素原子にある電子が手をつないだような状態になります。このような状態を共有結合と呼び、この場合O₂(酸素分子)になります。原子が分子になるには電子が重要ということを押さえてください。

白色顔料としての酸化チタン

話が飛び飛びで申し訳ないですが、塗料には色をつけるために様々な色の顔料が調合されています。その様々な顔料の中で白は酸化チタン(TiO₂)という化合物が一般的に用いられています。白の顔料は様々な色の塗料を調合する際に用いられているため、黒以外のほとんどの塗料に含まれています。ここで重要なのは酸化チタンはチタン原子と酸素原子の電子が結合している分子ということです。

ラジカルとは

さきほど紫外線はエネルギーの高い電磁波とお話しましたが、この紫外線は電子のエネルギー状態に作用します。簡単に言うと、共有結合していた電子の手を引き離してしまうのです。手を引き離されてしまった分子は非常に不安定であり、この状態をラジカルと言います。そしてラジカルとなった分子の手である電子は、他の分子から電子を奪い取り、自身が安定化します。電子を奪い取られた分子は新しくラジカルになり、また他の分子の電子を奪うというように、その反応は連鎖的に起こります。これは塗料に限った話ではなく、人の肌にも紫外線が当たるとラジカルが生成されています。また、プラスチック製品を直射日光のもとに置いておくと劣化しますが、これもラジカルによるものです。ラジカルは知らないだけで意外と身近な出来事なのです。

外壁塗装とラジカルの関係

ようやく本題です。紫外線を浴びた塗料に含まれている酸化チタンは、共有結合していた電子の手を引き離されてしまいラジカルになります。ラジカルとなった酸化チタンは他の分子から電子を奪い取ります。この時、奪い取る分子は同じ酸化チタンに限りません。つまり、塗料の樹脂であるアクリルやシリコンなどからも電子を奪い取るのです。電子を奪い取られたアクリルやシリコンはその分子の結合が破壊されてしまいます。このような現象が積み重なるとチョーキングが発生します。

ラジカル制御型塗料

ラジカル制御塗料は日本ペイントが2010年に販売を開始し、コストパフォーマンが良く長持ちすることから販売実績が伸び続けています。弊社でも取り扱いのある日本ペイントのパーフェクトシリーズを例にすると、その特徴は大きく二つあり、ひとつが顔料として含まれている酸化チタンに表面処理(ラジカルバリヤー)を施していること、もうひとつは光安定剤が含まれていることです。

高耐候酸化チタン(ラジカルバリヤー)

酸化チタンにバリヤーのような表面処理を施すことにより、酸化チタンがラジカルになっても、塗膜樹脂(シリコンやフッ素)との直接的な接触を防ぐことができます。これにより塗膜樹脂の分子結合が破壊されづらくなります

光安定剤

光安定剤は非常に複雑かつ多機能でありすべての作用は未だに解明されていませんが、ラジカルと反応し、これを無害化する特徴があります。このため、たとえラジカルバリヤーから漏れたとしても光安定剤が補足し、塗膜の劣化が広がるのを防ぐことができます。

その他の特徴

ラジカル制御塗料は耐候性のグレードで言えば、シリコン塗料とフッ素塗料の間の位置づけです。さらにフッ素よりも上のグレードのハイブリッド無機系塗料にもラジカル制御技術が施されているものもあります。

また、ラジカル制御は白の顔料である酸化チタンに施されているため、その性能をフルに発揮するのは白や白を含んだ淡い色の塗料です。逆に白をあまり含まない濃色の場合、そもそも塗料に酸化チタンがあまり含まれていないため、白などに比べるとあまり恩恵を受けていないと言えます。(実はほとんどの塗装業者がこのことを知りません)

そのため濃色で塗装する場合、例えばシリコン塗料よりも耐候性の高い塗料で塗装したいとお考えであれば、ラジカル制御よりもフッ素塗料の方が良い場合もあります

まとめ

紫外線は人体だけでなく、外壁塗装の塗膜にも悪影響を与えていることをご理解していただけたと思います。ラジカル制御塗料は塗膜の劣化を防ぐ作用があるため、コストパフォーマンスに優れ、耐用年数が一般的なシリコン塗料よりも長いです。ラジカル制御は白の顔料に施されているため、色と塗料の種類の選択には難しい問題もありますが、この記事を読んだことにより塗料を選択する際の知識が深まったのではないかと思います。

塗料の選択でお困り事があればいつでもお問い合わせください。

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